2015-12-18(2017-3-1更新)

「死にたいですよ。先生」重度のうつに苦しむ退役軍人フレッドはこう言った。

認知行動療法という言葉を聞いたことはありませんか。これは、抗うつ薬と同等か、あるいはそれ以上の治療効果が証明された最初の精神療法です。

認知行動療法

認知行動療法(Cognitive behavioral therapy:CBT)は、アルバート・エリスの論理療法や、アーロン・ベックの認知療法などから、思考や認知に焦点を当てた心理療法のことをいいます。

お薦めはこの一冊です。

「嫌な気分よ さようなら」自分で学ぶ「抑うつ」克服法
著 デビッド・D・バーンズ

心理療法がうつの治療になるなんて、とても信じられないと思いませんか。インチキ臭いと感じてしまいませんか。少なくてもかつての私はそうでした。

長い間抗うつ薬に依存して、うつ病は遺伝によるものだと思い込んでいる時期もありました。ですが、この本を読んで自分が間違っていたと思うようになりました。

この本の著者、デビッド・D・バーンズ博士は始めからこの治療法がうつの治療になると考えていた訳ではありません。元々は、フィラデルフィア退役軍人病院で、うつ病の新しい化学的仮説データを収集する仕事をしながら、脳が感情をコントロールする時にどんな化学物質がどのように働くかの研究をしていた人です。

彼の努力は実って、1975年には、生物学的精神医学会からベネット賞を受賞しています。この時博士は「やった」と思った訳です。自身でも「それはまさに夢の実現でした」と述べています。

彼はこの時、化学物質(薬)がうつの治療になることを疑ってはいませんでした。

この本の冒頭に退役軍人フレッドの話が出てきます。フレッドは10年以上もひどいうつ病に苦しんできた人です。バーンズ博士が話しかけても、「死にたいですよ。先生」と答えるだけでした。

フレッドはいろいろな抗うつ薬の治療を受けましたが、やはりさっぱり良くなりませんでした。

そして、最終的に電気ショック治療を受けます。18回目の最後の電気ショック治療が終わって、ようやくフレッドは麻酔から目を覚ましました。バーンズ博士は改善を期待していました。しかし、彼が言った言葉は「死にたいですよ。先生」でした。

バーンズ博士が認知行動療法の研究に取り組み始めたのは、この時からです。彼はアーロン・T・ベック博士の所で、勉強を始めます。

ベック博士の理論はとても簡単です。

  1. 憂鬱であったり、不安な時には、合理的な考え方ができず、自分を傷つけるように振舞ってしまう。

  2. 簡単な努力により、歪んだ考え方を治すことができるようになる。

  3. 症状が治れば、再び生産的で幸せになれ、自信が回復する。

  4. 以上のことは、単純明快な方法で、比較的短時間で成し遂げられる。

バーンズ博士は「根深い心理的、感情的な習慣がベック博士のいうような単純な方法で良くなるとはとても信じられませんでした。」と述べています。

またバーンズ博士は薬物治療を否定してはいません。薬を服用しているなら、薬物治療と心理療法を組み合わせて行うことができるし、それは抗うつ薬だけで治療するよりも高い効果が期待できると断言しています。

軽いうつ症状だけでなく、深刻なうつ症状にもこの治療法は効果があるのが明らかになっています。

読んでいて、「なるほど、なるほど」と頷いてしまいました。抗うつ薬の効果がない、治っても再発してしまうなら、是非この本を読んで下さい。きっと役に立ちます。

自分でうつを治す方法