2017-4-20(2017-4-22更新)

人が合理的に行動するのは本当だろうか?「あなたがそれを選ぶわけ」

予想と結果が全く違うということはありませんか。

合理的に行動した方がよいと思っている人は少なくはないはずです。ところがいつも理にかなった行動を取るとは限りません。人は比較する対象によって全く異なる判断をするのです。

下の画像を見て下さい。

小さな黒丸で囲まれている白丸の方が、大きな黒丸で囲まれている白丸よりも大きいように見えませんか。

参照元https://www.brainhq.com

ところが、この二つの丸は同じ大きさです。

相対性(他のものと比べてどうかということ)の実験からわかったことの紹介です。

突然ですが、何かを買うときに他のものと比較しながら決めることはないですか。

例えば、おまけが付いてくる商品と何もついてこない商品では、おまけが特に必要なものではなくても何となく選んでいるということはないでしょうか。

人はお得が大好きですね。相対性が人の心にどんな影響を与えるかの実験はいくつかされていて、そこからおもしろいことがわかります。

効率良く売り込むテクニック

エコノミストドットコムという新聞の出版会社はつぎのような購読案内の広告をウェブサイトに掲載しました。

どうぞ、見て下さい。

購読のご案内
エコノミストでは一年間の購読に次のオプションをご用意しています。
ご希望の購読方法を選択して下さい。
□エコノミスト・ドットコム年間購読 59ドル(ウェブ版)
□エコノミスト・ドットコム年間購読 125ドル(印刷版)
□エコノミスト・ドットコム年間購読 125ドル(ウェブ版と印刷版)

あなたがもし、この記事に興味があって購読を希望しているとしたらどれを選ぶでしょうか。

比べてみると、ウェブ版と印刷版のオプションが一番お得なように感じませんか。

これなら、年間125ドルを払うと59ドル分の情報が無料で手に入ります。

実際にマサチューセッツ工科大学(MIT)MBAの院生100人にこの広告を見せてどのオプションが一番購入する気になるか選ばせたところ、つぎのような結果になりました。

□エコノミスト・ドットコム年間購読 59ドル(ウェブ版)16人
□エコノミスト・ドットコム年間購読 125ドル(印刷版)0人
□エコノミスト・ドットコム年間購読 125ドル(ウェブ版と印刷版)84人

はい、ご想像どおり印刷版の購入を希望した学生はだれもいません。そして、一番お得感があるオプション(ウェブ版と印刷版)を選ぶ院生が断然多いという結果になったのです。

ということは、125ドル(印刷版)のオプションは必要ないはずです。

そこで今度は、誰も選ばなかったオプションを外して、また広告を掲載してみたのです。

購読希望者0人のオプションを外しただけですから、下のような結果になってもおかしくはありません。

□エコノミスト・ドットコム年間購読 59ドル(ウェブ版)16人
□エコノミスト・ドットコム年間購読 125ドル(ウェブ版と印刷版)84人

ところが実際はこうなりました。

□エコノミスト・ドットコム年間購読 59ドル(ウェブ版)68人
□エコノミスト・ドットコム年間購読 125ドル(ウェブ版と印刷版)32人

125ドルの方を選ぶ院生は半分以下に減ったのに対し、59ドルのウェブ版のみを購入する院生は4倍以上に増えたのです。

125ドル(印刷版)は一見意味がないような選択肢です。でも、結果をみると人の決断に大きく影響を与えていることが分かります。

行動経済学によれば人の心理は一貫していて、比べるものが変わるだけで決めることも変わるのです。

例えば、機能性に優れたAと使いやすさに優れたBでは、比べる特性がことなるので、優劣をつけるのは難しくなります。

一方、Aとそれよりは機能がやや劣るCを比べるのであれば、どちらが良いのか一目瞭然です。

またA、B、Cと3つの選択肢がある場合、Cよりも優れているAなら、Bよりも優れているように人は判断します。

おとりを使った実験

もう一つの実験例を見て下さい。

MITの学生に協力してもらい、顔の写真をあつめてモデルや俳優のような2つの異なるタイプの合成写真(AとB)をつくりました。

またAとBの顔の一部を少しひずんだように修正してA’B’の写真もつくり、下のように並べて学生たちに「デートに行くならば、誰にするか」2つのパターンの中から選んでもらったのです。

(パターン1)Aはイケメン、A’はAより劣る、Bはイケメン

(パターン2)Aはイケメン、B’はBより劣る、Bはイケメン

さあ、結果は!
前例の推測が正しいならばパターン1の場合、Aを選ぶ人が断然おおくなるはずです。またパターン2の場合なら、Bを選ぶ人が間違いなく多くなるはずです。

集められたデータは600あり、結果はこのとおりになりました。

予測はズバリ的中です。学生たちの75%は、ひずんだ顔に似ているけれどそれよりもイケメンを選んだのです。

役員の収入を公開したら起こったこと

1992年にアメリカの証券規制当局は、各企業で雇われている経営幹部の報酬を細かく開示することを義務付けました。

当局は「収入を公開すれば、給与や役職手当の制限になり平社員の給与が上がるのでは!」と見込んだのです。

ところが、全く正反対の事態になったのです。

1976年の平均的なCEOの所得は平社員の36倍でした。しかし、1993年の調べでは平社員の131倍になり、現在では369倍以上になっているのです。

彼らの収入に問題があるわけではありません。CEOたちは同じ立場の人達と自分を比較して、相手よりもその額が劣る場合、自分たちは正しく評価されていないと考えたようです。

結果、各CEOたちはより高い収入を会社に要求するようになりました。

規制当局の狙いは外れて、抑制どころか各社に雇われているCEOの給与は増えることになったのです。

所得の公開を義務付けた当局の思惑は裏目に出てしまいました。

お金の価値とは

研究者のエイモス・トベルスキーとダニエル・カーネマンが行なった実験からも面白いことがわかります。

例えば、今日中にスニーカーを買う予定があって、目の前のスニーカーには6,000円の値札が付いています。しかし、それと同じものが、今いる所から30分くらい離れた場所では、4,800円で売っているとしたら。

あなたならどうしますか?少々時間はかかるものの、そこまで行けば1,200円の節約になります。

この場合、大抵のひとは離れた店まで行くと答えるそうです。

もう一つの質問です。

今度は60,000円のスーツを買おうとしているときに、少し離れた店では全く同じものが58,800円で売っていることをふっと思い出したとします。

もちろん、そこまで行けば1,200円の節約になります。あなたならどうしますか。やはり先ほどと同じようにその場所に向かうでしょうか?

この場合、たいていの人は行かないと答えるそうです。

なぜ?

6,000円の内の1,200円なら、そう、2割引きになります。値幅が大きいので凄く得をしたように感じるのです。ところが、60,000円の内の1,200円ならば、たいしてお得とは言えません。

なので、遠くまでいってもあまり価値がないと判断してしまうのですね。

同じ1,200円でもすごく価値があるように感じたりほとんど価値がないように感じています。

結果、行動にも違いがでてくるのです。

如何でしょうか?

私たちは他のものと比べてどうかということで行動しているのです。

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